BLOG

SHIRO OZAWA

SHIRO OZAWA
小澤 史郎(小澤金物店 店主)

1989年福井県生まれ。
箪笥など工芸の様式を調べるなか、金物の美しさに触れ、
和金物を中心に伝統的な金物をそろえた小澤金物店を開業。
「日本の美しい金物」をコンセプトにしつらえにかなう金物を製作販売している。

建築空間や家具など、その意匠全体に大きな影響をあたえる金物。
金物という小さな伝統がもつ美のエッセンスを求めて日々調査、研究に取り組んでいる。

座右の銘は「たかが釘、されど釘」

小澤金物店
http://ozawakanamonoten.com

RECENTRY POST

<<  2018年11月 

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

2018/11/10

店舗を改修しています。

こんにちは。



小澤金物店では10月初めから店舗の改修を行っています。


昨年の9月に店ができ、1年現状のままで店をしてきましたが、
90年の間に痛みが出ているところも多く見られ、金物店にあった使い勝手にしたく、
今回改修を行うことになりました。


改修箇所は外壁および、店舗内部で、
外部に関しては、長年貼られたまま板金を杉板の板壁、熨斗羽目で和釘を用いて打ち直し、
外観をこの建物が建てられた昭和初期の姿に戻すためにエアコンの室外機の取り外しや壁の補修を行います。

内部においては壁や板間部分の改修、
また土間を延長して売り場を広げるなど金物店としての機能を考慮した改築も一部行います。


今回の改修は、この建物が建てられた当時の技術や材料を使って、
新建材を極力用いず、本来的な姿に戻すことを目的に取り組んでいます。


その改修の過程を少しご覧いただけたらと思います。




それではどうぞ。



まず、西側外壁トタンの解体を行いました。
汚い...。
積年の汚れが...。


IMG_0560.jpg



上の写真主屋中央から奥は荒壁を押さえてありますが、
手前部分は内側から塗ったままで、隣家が密接して建っていたことがわかります。



荒壁をよく見て見ましょう。



IMG_0565.jpg



小舞の様子。
軸となる部分は竹を用いていますが、その他ほとんどは茅(ススキなど)を用いた茅小舞となっています。
現代では竹小舞が主でありますが、地域によって様々な材料が使われていたようです。
この地域では山側に生えるススキなどを壁下地に使っていたようです。
茅でも編んで土をかぶせることで壁として十分な強度があります。




IMG_0757.jpg



透湿防水シートを貼りました。
防水シートについて最初はごねましたが、張りました。
ここからが大変、板を平面に張るために、下地を補い、胴縁を張り、下地作りに非常な手間がかかりました。


今回壁を打つのに使うのは、和釘の一種、「替折釘(かいおれくぎ)」です。


替折釘.jpg




一本一本手打ちの和釘です。
外壁には替折釘を打つのが一般的です。
この釘で板を使っていたを縦に貼っていく(熨斗羽目貼り)のが、町家の外壁のスタンダードです。



和釘替折釘.jpg




今回用いた木材は福井県産杉材赤無地から上小節まで(主屋部分)です。

杉板は幅7寸、4m、厚み5分。7寸幅に替折釘4本の割合で打っていきました。


和釘を打つ際には和釘の頭がピンと水平に揃うよう細心の注意をお願いしました。
手順としては下穴を開け、垂直に打ち込みのですが、その際少し頭が曲がる場合もありますので、ペンチで頭を正面垂直に戻してから最後打ち込んでもらいます。


秋空に玄翁の音が響き渡り、いい大工現場の景色でした。




IMG_0908.jpg





次は袖壁の部分の補修です。
この地域では大屋根の軒を深くとるために平入りの正面両端に設ける壁のことです。
武生地方では袖壁を登梁と腕木で持ち出しています。

袖壁の西側部分も隣家が密接していたために、裏の塗り回しがされておらず、
今後袖壁は化粧となるので土壁を作り直すことになりました。



IMG_0927.jpg



茅小舞の下地で登梁には壁が施されていません。
小舞を延長し壁を作っていきます。


IMG_0939.jpg


竹軸は残しながら、余分な茅を切り揃えます。

ちなみに、登梁は松。
とろとろの太い松です。今となっては希少な材料。
この建物(間口3間半)には5本の登梁が使われています。


IMG_0942.jpg


梁部分は編むことはできないので、竹に荒縄を巻きつけて小舞とします。


IMG_0956.jpg



途中、荒縄を伸ばした「結び下げ」というものを仕込みます。
これが壁の強度を高めます。


IMG_0982.jpg



登梁と化粧垂木の間に小舞を編み込みます。



IMG_0984.jpg



磯野左官工業・磯野さんの真剣な表情。



IMG_1001.jpg


小舞下地完了です!
磯野さんが手に持たれているのが結び下げです。
これを広げて人の字型に塗り込むことで強靭な壁が出来上がります。
寺社仏閣や土蔵で用いられる技術です。


IMG_1002.jpg



磯野さんが仕込まれた荒壁土。
山土に藁を混ぜ込んだもの。
長期の熟成を経ているため藁が大変しなやかで塗りやすく、乾いたときに強い土になります。



IMG_1013.jpg


さあ、塗っていきます!


IMG_1046.jpg


「結び下げ」を塗り込む。
人の字の様に広げて塗り込めることで、縦横無尽に荒縄の目が入るので強い壁になるというわけです。



IMG_1075.jpg


荒壁完成です。
壁のチリ回しが綺麗です。荒壁乾燥後、中塗り、上塗り続きます。


上の磯野さんが立っている後ろの板が化粧貫の入った板壁となっていましたが、
経年の痛みがあること加え、今後雨ざらしになることから、
銅板金にて化粧をすることにしました。


IMG_1133.jpg



まず、今までの貫の間に板を当て下地を作り、シートをかけました。
そして両側の柱に、雨避けとして根巻き。


今回は一文字葺きにしました。
化粧として幅5寸高さ2寸、小さめです。
小さくて作りにくかったみたいです。


IMG_1140.jpg



歩行者の方からもよく目につくところなので、
少し金物屋らしくなったかなと嬉しく思っています。


IMG_1148.jpg



この後、破風と腕木の間部分も一文字葺きにて仕上げました。



IMG_1151.jpg


上のように、登梁の木口は銅板で覆ってあり、
1階下屋の化粧垂木も木口金具が付いていましたが大屋根の垂木には金具が無かったので今回取り付けてもらいました。


私も木口を測ってみたのですが、松材で幅2寸5分以上あり、
かなりごっつく、太さもバラバラ。(松は材表面からの干割れが多く生ずるため)
そのため、一つひとつ垂木に合わせて木口金物を作っていきます。




IMG_1156.jpg


一つひとつ穴を開け鋲で止めていきます。



IMG_1160.jpg


袖壁外側の横梁の木口もお願いしました。
西日の吹きさらしの部分ですが、これで安心。


今までの写真を見てお気づきになった方はいらっしゃるでしょうか?
化粧材の色。これは紅殻(弁柄、ベンガラ)の
正面及び西側一部にもとから塗られていたベンガラが
経年と共に色が落ちてしまっていたため、塗り直すことにしました。


軒裏の雨がかからない部分を見ると、もともとベンガラが塗られていたのがよくわかります。

IMG_1092.jpg



ベンガラを塗るのに使うのは、ベンガラと柿渋、これだけです。

IMG_1204.jpg


これを混ぜ合わせ塗っていきます。
ベンガラは鉄の錆分を用いた伝統の色粉です。
しかし外部で使用するには雨ですぐに落ちてしまうので、柿渋と混ぜて使用します。


柿渋も伝統の塗料で、茶色と黒の間の地味な色ですはありますが、
自然ならではの味わい深い色です。
乾燥するとその色とともに、撥水性のある糊のような働きをしますので、
ベンガラをそれで付着させるようにします。
ベンガラと柿渋でできた層を重ねるようなイメージで、何度も塗っていきます。
IMG_1213.jpg




漆もベンガラとあわせて使っています。
こちらの地域では漆を内部の化粧材に塗ることが一般に行われてきました。
今回、ホゾ埋めや根継、その他新たに補うところでは
鉋かけ後、漆を塗って仕上げたものを使っています。


まず、ベンガラを塗ります。


IMG_1183.jpg



この場合、水で溶いたベンガラです。
よく乾いたら、その上に生漆をヘラでまんべんなくのばし、
直ぐに裂で拭き取ります。
手早く、材の表面にあるもの全てを拭き取るような感覚で拭き取ることが大切です。


それを5回繰り返したのが次の写真です。

IMG_1188.jpg



その他の材料が全て漆塗りですので、その通りに漆を塗った材料を補うのが自然で一番の方法です。
他の材は、これまでの90年の間に、もっと深い色に変わっていますが、
これからこの新しく漆を塗った材料も時間の経過とともに色に深みが出てきますので、
よく馴染んでくると思います。



うちの店は金物という建築の材料を扱っている店ですので、
とにかく材料にこだわりたいと思って改修に取り組んでいます。


ちなみに、木材への色付けは見積りに入っておりませんので、自分でやっています。笑
本当に時間と根気がかかりますので、大変な部分もありますが、
これまたいろんな勉強になることがあってやっていて楽しいことも多いです。



11月中旬の完成予定でしたが、少し遅れているのですが、
じっくり腰を据えてやらなくてはいけないと思っています。



また、ご報告できるのを楽しみにしております。



2018/08/03

看板屋さんにガラス戸に手書きで書いてもらいました。

みなさん、こんにちは。




今回、ガラスの建具の看板を書き換えましたのでご紹介します。


これまでも看板はあったのですが、
ガラス建具のところにちらりと「和金物 小澤金物店」と白字で清朝体の活字を引き伸ばしてペイントしておりました。


私はこれはこれで今風かな?(笑)とか思っていたですが、
お年寄りからは評判が悪く、
「あんなのなんて書いてあるかさっぱりわからん」(どっかのおばちゃん)とか
「インパクトが無い」とか言われてました。



IMG_5429.jpg
(少し前の弊店外観。小さく白地のペイントがあった。)



そこで、これまでもいいなーと考えていた昔ながらのお商売屋さんの入り口のガラス戸のように
手書き文字で店名を入れたいと市内の看板屋さんにガラスに手書き看板が出来るか確認して回りました。


けれどカッティングシート一を提案され、手書きはどこも引き受けてくれませんでした。


そこで福井市の方へ電話してやっと、見つけたのが今回お願いした看板屋さんでした。



翌朝9時過ぎ、道具一式持って来られていて「今日書きます」とおっしゃいます。



まず打ち合わせして、雰囲気を伝え、見積りを後日送っていただけるのだろうと思っていたのですが、着くと挨拶もそこそこに、書く内容を聞かれすぐ仕事開始。



4枚の引戸のうち中央2枚に「小澤金物店」と聯にお願いしますと伝えました。


IMG_2500.jpg
(今までの文字とのあっけない別れ...。)



コンパスで中心をとっていきます。

IMG_2511.jpg



そして一気呵成に書いていきます。



IMG_2549.jpg


通常、書く前に「上品な文字でね!」「キュッとして余白をとってね!」とか言うところですが、
そんな隙は全くなく仕事は進んでいきました。




次見るとすでに2枚目。


早い。



IMG_2565.jpg




書き上げると金色の塗料を用意して裏面に。
白地の裏から金を入れていきました。


白文字は下書きで、ガラス文字は裏から色を入れるという事でした!なるほど!
(確かに昔のガラス文字は裏から書かれている。)



IMG_2581.jpg



飄々と進んでいきます。



IMG_2588.jpg



書き終えると助手の方が下書きを落としていきます。



IMG_2592.jpg



細かいところの調整をしていきます。



金文字だ〜!




IMG_2609.jpg



この時点で書き始めから45分経過。



IMG_2608.jpg



1時間足らずで完成しました。
あっという間でした。


お盆もあるし、お彼岸までくらいに書いてもらえたらいいなーと思っていたのですが、
電話して翌日午前中に仕上がり。


早い!



こちらの職人さんは、昔は映画会社からの手書きポスターを頼まれたりしていたそうです。
今でも選挙事務所の必勝という文字を入れた応援ポスターを書いたり、
さらにそこに龍の絵を入れたり、シャッターやトラックなどへの手書きなど様々な仕事をされているそうです。


下が仕上がった店舗入口のガラス戸です。


手書きならでは味わいある雰囲気に仕上がりました。
やっぱり金文字ですね!


これでおばちゃんも見やすくなったと言ってくれると思います。


やってよかったです。



IMG_2619.jpg







2018/06/04

野の花

こんにちは。


タトデザイン不動産部門のタナカさんに『おっさんずラブ』を強くすすめられ、
見逃し視聴にどハマり中です。(福井ではテレビ朝日系の地上波放送がないため)


天空不動産を見ていると、愛に溢れ楽しそう。
当店は福井でひっそりとやっていますので静かなものです。笑


都会もいいなと思いますが、都会にいると田舎育ちの私なんかは、自然を欲してたまらなくなったりもします。


福井は人口約75万人。
人は少ないですが、野山には自然があふれていまして、気持ちが良いです。
好きな花をみながら山を歩いたり、朝庭に出て日々の植物の成長を感じたり。

店ではそんな野の花や庭で咲いた花を店にいけて楽しんでいます。




フタバアオイ.jpg



これは5月15日の京都葵祭にあわせて入れたものです。


庭の植木鉢で育てているフタバアオイがちょうど花をつけいました。
(花器の口のところにちょこんと乗っかっているのが花です)



その日、野や庭で目にとまった花をこんな風にふっと入れて楽しんでいます。



最近は時間がなくてあまり山にはいけていませんが、
福井の山にはフタバアオイが自生しているところもあります。


自生フタバアオイ.jpg
山中の道端の双葉葵(2015年5月15日)



今年はもう盛りは過ぎましたが、ササユリが大変きれいでした。


自生ササユリ.jpg
自生している笹百合(2018年5月25日)


こんな風に身の回りにきれいな自然の花があるのは嬉しいなあと思います。



また、福井は美味しい魚が気軽に食べられるのもいいところです。


小澤金物店がある越前市は魚屋さんが非常に多いところで、
昼前には焼きたて、揚げたての魚が店頭に並びます。


魚屋さん.jpg


この日は時間が遅かったのでパックされてますが、普段はもっと威勢がいいです。
手前のカレイの唐揚げは、ジューシでサクサクでおすすめです。
温かいご飯と魚と漬物があれば、いい昼だと思います。


昼にご飯とへしこも最高です。



なんとも取り留めのない話になってしまいましたが、
福井での毎日を少し紹介させていただきました。




次回はぜひ金物の話をと思っております。



UP